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先生の声
【親知らず】抜く?抜かない?抜いたら小顔になる?

親知らずとは

20代前後に生えてくる最も後ろの奥歯のことで、大人の歯のなかで一番最後に生えてきます。
大人の歯は通常15歳前後で生え終わるのですが、親知らずは20代前後のため、親に知られず生えてくる事が名前の由来と言われています。通常は上あごの左右に2本、下あごの左右に2本の合計4本ありますが、もともと親知らずがない人、4本未満の人など個人差があります。

親知らずを抜く事によるメリット・デメリット・リスク

《メリット》
・虫歯・歯周病の予防:歯ブラシが届きやすくなり、虫歯や歯周病の予防につながります。
・口臭の改善:親知らず周辺の汚れから生じる口臭の改善が望めます。
・歯並びへの影響がなくなる:無理に生えた親知らずで他の歯が押され、歯並びが少しずつ乱れることがあります。抜く事によって、他の歯が影響を受けなくなり、歯並びが維持しやすくなります。

《デメリット》
・抜歯後の腫れ:抜歯後、腫れや痛みが生じることがあり、鎮痛剤を処方しますが、痛みは通常2~7日間持続します。
・食べ物が詰まる:抜いた部分には穴ができ、歯肉が完全にふさがるまで食べ物が詰まりやすくなります。
・再出血:抜いた当日に無理をすると、抜いた場所から再び出血することもあります。

《リスク》
“上の親知らずのリスク”
歯を抜いた穴が、上顎洞という鼻の空洞と交通した場合には、血液、水、空気などが鼻から漏れたりする場合があります。ただし、基本的には、自然に封鎖することがほとんどです。

“下の親知らずのリスク”
下あごの骨の中を通っている太い神経を傷つけてしまうと、抜いた後に唇や舌のマヒなどを引き起こすことがあります。

上下共通のリスクとして、顔に内出血が出る可能性があります。 また、下の親知らずの方が抜いた後に腫れや痛みが出やすく、腫れが出ると口が開けづらくなります。腫れは通常2~7日で消失します。

親知らずって必ず抜いたほうがいいの?

親知らずって抜いたほうがいいんですか?とよく患者さんからきかれることがあります。

たしかに親知らずは歯ブラシが届きにくいため虫歯や歯周病になりやすく、痛みや腫れといった症状をよく耳にします。

ただ、すべてにおいて抜かなければならない訳ではなく、歯茎からしっかり出ている親知らずで、適切な歯磨きができる場合は抜かなくても良い場合があります。

しかし、横向きや正常に出ていない親知らずは清掃性が悪く、むし歯、歯周病、口臭の原因や歯並びに悪影響を与えるため、抜歯をおすすめします。

現在、親知らずに違和感や痛みを感じている方は、ぜひ一度検査をお受け下さい。

歯科医師とよく相談し方針を決めることをおすすめします。

親知らずを抜くと小顔になれるって本当?

親知らずを抜くと小顔になる、と耳にすることがあります。

まれに顔がほっそりしたようにみえる可能性はありますが、あくまでも可能性の話です。ほっそり見える可能性の理由を挙げてみます。

・親知らずの周囲の骨が痩せる
下の親知らずの場合、エラに近い場所に位置していますので、抜くことで骨が吸収してエラの部分が若干ほっそりする可能性があります。

・顎の筋肉が痩せる
しっかり噛んでいる親知らずを抜いた場合、その部分が噛まなくなることにより筋肉が使われなくなるため、筋肉が痩せていきます。
また、噛み合っていない場合でも、親知らずが手前の歯を押していたりする場合に歯並びがずれたり、違和感を感じることによって無意識にかみしめたり歯ぎしりをすることがあります。
その場合もその原因となっている親知らずを抜くことでかみしめ、歯ぎしりなどがなくなり、筋肉がすっきりしてくることが考えられます。

親知らずを抜歯することで小顔にするという方法に関しては、確実ではないので、医師の中でも意見が分かれていますが、
美容目的で抜歯することはおすすめ致しません。
執筆者
札幌歯科 院長 坂本渉
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