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先生の声
合唱部でもテニス肘(ひじ)になるの? ~テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)の話~

その1)テニス肘の話

 Aさん(仮名)は50歳の女性で専業主婦です。「料理をする時にフライパンを持つと肘の外側が痛くなる」、「ペットボトルのフタを開けるだけで腕に痛みが出た」と言う訴えで、クリニックを受診されました。

 診察すると、肘の外側の骨を触ると強い痛みがありました。次に指先をしっかりと伸ばしてもらい、その中指を上から力を加えると肘に強い痛みが出現しました。(写真)「これはいわゆる「テニス肘」ですねー。」と告げると、「えー!私は合唱部で、テニスなんてした事ありませんよ!」と言われましたが、これは典型的な「テニス肘」です。

その2)ゴルフ肘の話

 Bさん(仮名)は50歳の男性です。ゴルフが大好きで週に3回は練習場に行くのですが、最近は練習をする度に肘の内側に痛みを感じるようになってきました。そしてついに昨日、カバンを持ち上げただけでも肘に痛みが出たため、クリニックを受診されました。診察で肘の内側を押すと激しい痛みが出現しました。また手首(手関節)を曲げても、強い痛みが出現しました。「「ゴルフ肘」を疑う症状がありますね」と告げると、「え?そんな名前がついた病名があるのですか?」と言われましたが、あるんです、「ゴルフ肘」と言う病名が。(※正式な病名ではありませんが。)

テニス肘、ゴルフ肘とは?

 テニス肘は正しくは「上腕骨外側上顆炎」、ゴルフ肘は「上腕骨内側上顆炎」と言います。どちらも、それぞれのスポーツをする方に多くみられるので、正式名称より一般名が有名なのですが、テニス肘はスポーツをしない方にも多く見られる疾患です。調理師、運送業、主婦の方など、手首に負担のかかる仕事をされている方に、この症状に悩んでいる方がいます。

 原因としては、手から肘につながる筋肉の使い過ぎで、それによって炎症が起こると、肘や前腕の痛みが強くなっていきます。

 治療としては、まずは安静を保ちながら湿布や鎮痛薬の内服をしたり、リハビリテーションによる保存的治療が行われます。職業上安静を保つのが難しい方や痛みが強い方には、注射をしたり、エルボーバンドというものを着用してもらうこともあります。(プロ野球選手が前腕に巻いている事があります。)

 これらの保存的治療でほとんどの方が良くなるのですが、それでも良くならない難治性の方では、手術になることもあります。

 上記のような肘の痛みでお悩みの方は、お近くの整形外科やペインクリニックの受診をお勧めします。
執筆者
厚別ひばりクリニック 院長 CEO:野崎浩司
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