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先生の声
自分の骨が目の前に!?  新しいカスタムメイド手術

技術革新から広がる、新しい手術

 ここ最近の技術の発展にめざましいものがあるのは、日々に生活の中でも実感するところではないでしょうか??
 スマートフォンや携帯型ゲーム機など、10年前と比べても、画像のきれいさ、処理速度に格段の進歩がありますね。
 このような技術革新は、我々の手術にも様々な新しい技術をもたらしてくれています。
 今回は、私も使ってみてその簡便さに驚いた、患者さんご自身の骨データから作製した「骨モデル」を使用した新しい人工股関節手術をご紹介します。

術前計画と医師の腕

 人工股関節手術をおこなう際には、さまざまな情報から、術後に、痛みがなく、歩きやすくするにはどうしたらいいか、計画を練ります。いわゆる術前計画というものです。
 左右の脚の長さの違い、骨の太さや厚さなどを検討して、様々な機種の中から最適な機種・サイズを選び、設置する最適な場所を選んで、術後にきちんと動いて歩けるかシミュレーションします。
 選んだ機種を、計画通りに最小侵襲で最適な場所に入れるというのが、医師の腕の見せ所です。

せっかくの術前計画を台無しにしないために

 術前計画が完璧に出来たとして、それをどう再現するかが問題です。
 腕前と経験のある医師なら、感覚でかなり正確に再現することが出来ます。
 しかし、すべての医師が完璧に出来ると言うことはありませんし、熟練の医師でもわずかな狂いはあります。
 最近は、CAS:Computer assisted surgery=コンピュータ支援手術という方法が広まってきています。術前計画と同じように、手術中にもコンピュータから取り出したデータを活用して、正確に手術をしようというものです。

骨モデルを作成して、ガイドを作ろう!

 正確な場所で骨を切るために、CTから骨盤と大腿骨のデータを取り出し、まず3次元モデル化します。
 できた3次元モデルにピタッと合うような骨切りガイドを作成して、このガイド通り骨を切れば、予定と狂いのない骨切りが完成します。
 あとは、この骨切りに沿ってインプラントを設置すれば、術前計画通りの人工関節となります。
 作った3次元モデルは患者さん固有のもので、できあがるガイドもこの患者さんのためだけのものになります。
 いわゆる「カスタムメイド」、すなわち、その人の手術のためだけに作られていて、当然ながら、他の人には合わないということになります。

利点と欠点

 このカスタムメイドの骨切りガイドの最大の利点は、実際の骨にピタッと合わせるだけで、術前に設定した骨を切る位置がわかり、「正確に骨を切ることが出来る」ことです。
 また、それがすぐわかるという「簡便さ」も利点といえるでしょう。
 外科医としては、「ピタッと合う感覚」自体が信頼できるデバイスといえます。
 同じようなCASとして、ナビゲーション手術がありますが、ごくまれに、実際の位置と計測している位置がずれることが有り、本当に正しいかわからなくなることがあります。
(車のナビで例えると、海の上に車があったり、道が一本ずれて表示されていること、たまにありますよね??)
 こういったずれている危険性を考えなくてもよいところが非常に有用です。
 逆に、欠点は、このモデルを作るのに2~3週間は要するため、急な手術には対応が難しいということがあげられます。
 手術まで3週間程度の余裕のある方には、非常に有用なツールですので、どこで手術を受けたらいいか、を考える際には、このツールを使用しているというのが、一つの目安となるのではないでしょうか。
執筆者
佐藤達也 我汝会さっぽろ病院医局長・股関節外科医
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