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先生の声
股関節の難病って

股関節の難病

 先日、某タレントさんが「股関節の難病」であることを告白されました。
 股関節に難病ってあるの?
 難病って、そもそもどういうこと? 治せるの??
 いろいろ、気になりますね。今回は、股関節の難病について説明します。

そもそも難病とは

 日本には、難病法(正確には、難病の患者に対する医療等に関する法律)があり、この法律では、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と定義されています。

 原因も治療法もはっきりしていない困った病気、ということですね。

特発性大腿骨頭壊死症

 現在、難病法で難病指定を受けている疾患は333にも上ります。
 その中で、股関節にかかる難病は、特発性大腿骨頭壊死症もしくは、股関節に関節炎を起こす自己免疫疾患(いわゆるリウマチ関連)が想定されます。

 先の芸能人においては、「壊死している」との発言から特発性大腿骨頭壊死症の可能性が高いです。
 定義通り原因不明で、大腿骨の股関節側先端の大腿骨頭という部分が、突然、細胞死に陥り、機能破綻に至ります。骨の細胞が死んでしまうと、骨を維持することができなくなり、骨頭が破壊され、関節痛の原因となります。

 この細胞死は、ある一定の範囲で起こり、どれくらいの範囲で起きるかは個人差があります。また、時間がたってもこの範囲は拡大しないこともわかっています。この範囲の大小で、現れる症状の程度は変わってきます。

どうやって治すの???

 細胞死は、元に戻すことはできません。血流を回復させてなんとか骨細胞を回復させる取り組みが過去にいろいろと行われていましたが、奏効しませんでした。

 現在の治療は壊死の範囲と壊れ方によって決まります。範囲がとても狭く骨が壊れてこない場合は、無治療で経過を見ます。範囲が大きく、壊れてくることが予測される場合は、手術を行います。壊死した骨は、体重などの負担がかかると壊れてしまうので、負担がかからない場所に移動させる骨切り手術を行います。

 また、骨が壊れてしまってから見つかった場合、移動が難しい場合には人工股関節置換術を行います。

医療費助成制度

 指定難病は、治療が難しく長期化することも多いため、特別な医療制度が用意されています。「特定医療費」といわれますが、難病指定医による認定用診断書を作成してもらう必要があります。指定難病だから全員が受給できるわけではなく、重症度も認定の基準に使用されます。

 北海道、もしくは札幌市のホームページに難病指定医のリストがあり、調べることができます。指定難病と診断された場合は、難病指定医に相談してみましょう。
執筆者
佐藤達也 我汝会さっぽろ病院医局長・股関節外科医
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