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ヘルスケアコラム
日ごろの食生活のチェックにも大いに活用したい「食事摂取基準」

健康な食事のための基本的なガイドライン「栄養所要量」

厚生労働省では「栄養所要量」という食べ方の基準を5年ごとに発表してきました。学校や職場、病院でどのような給食をつくればよいのか、病気にならない食べ方とはどんな食べ方なのか、加工食品のなかにはどんな栄養素がどれくらい入っているかなどを考えるときのもっとも基本的な資料となるガイドラインとして長く使われてきました。これは、一般の方が日常生活のなかで目にすることはほとんどありませんが、社会のなかで幅広く使われています。

「栄養所要量」から「日本人の食事摂取基準」へ

その基準が、2005年に「日本人の食事摂取基準(2005年版)」という名前に変わりました。
「栄養所要量」の“所要”は“必要”という意味です。これは戦後、日本人の栄養が足りないころにできた考え方に由来するためです。
ところが現在は、食べ方のアンバランスの結果として起こる生活習慣病や、サプリメントなど特定の栄養素を高濃度に含む新しい食品の過剰摂取による害など、新たな問題が起こってきました。このような問題にも対処することを目的としてつくられたのが「日本人の食事摂取基準」です。

34種類の栄養素に5つの指標とエネルギーの指標

「日本人の食事摂取基準」では、34種類の栄養素について、目的別に「推定平均必要量」「推奨量」「目安量」「上限量」「目標量」の5つの指標が設けられています(図1)。
「推定平均必要量」は、食事摂取基準を理解するうえでもっとも基本となる指標です。「推奨量」は推定平均必要量に基づいて算定され、不足者の出現確率が2~3%程度である摂取量を示します。
ほぼ同じ目的に用いる指標として「目安量」があります。「推奨量」や「目安量」に近い量を食べていると、その栄養素について摂取不足は起こらないだろうと考えられます。
一方、「上限量」は、過剰摂取による健康障害を未然に防ぐことを目的としてつくられた量です。この量を超えて食べないように注意しなくてはなりません。
さらに、生活習慣病を予防するために、一部の栄養素に「目標量」が決められています。これらの量は、性別や年齢ごとに決められています。
太りすぎややせすぎにならないように、食べるべきエネルギー(カロリー)を示した指標が「推定エネルギー必要量」です。これは性別や年齢ごとだけでなく、からだの働かせ方、つまり、身体活動レベル(3段階)ごとに決められています。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画