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ヘルスケアコラム
妊娠中の食事 ママのからだから栄養を吸収する赤ちゃんのために食事に気を使って

母体が摂取した食物は分解され胎盤・臍帯(さいたい)を通して胎児へ

刻々と変化する自分のからだと胎児の成長を健やかに保つために、妊娠中は適切に楽しく食事をする必要があります。妊娠2カ月ごろには約70%の妊婦につわり(妊娠悪阻(おそ))と言われる食思不振、悪心(おしん)、嘔吐の症状が見られます。プロゲステロン※というホルモンの平滑筋弛緩(へいかつきんしかん)作用※により、食道や胃腸の運動が低下し胸やけ、げっぷ、便秘などが起こります。ふだんのようにうまくいかないことも多いものです。
母体が摂取した食物は分解されてブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸となり、胎盤・臍帯(へその緒)を通じて、赤ちゃんに運ばれます。

甘いものや塩分をとりすぎないように

(1)良質のたんぱく質をとりましょう
たんぱく質はからだをつくる基本です。妊娠中はふだんより10g多くとるようすすめられています。
(2)カルシウムをとりましょう
カルシウムは特に日本人に不足しがちと言われています。妊娠中はふだんの倍くらいとるつもりで、積極的に摂取しましょう。また、吸収を阻害するような要因(甘いもの・インスタント食品のとり過ぎ、運動不足など)に気をつけましょう。
(3)鉄分をとりましょう
鉄は赤血球をつくるのに必要です。妊娠中の貧血は赤ちゃんにも影響します。
(4)食物繊維をとりましょう
便秘を予防し、腸をきれいにします。
(5)塩分は控えめにしましょう
とりすぎは高血圧の原因となったり、からだに水分を貯留させてむくみをひどくします。

栄養不足は母体だけでなく胎児の発育にも悪影響

外食ではついカロリーや塩分、脂肪の量が多くなりがちです。オーダー内容を工夫したり、そのあとの家での食事の内容を調節したりしましょう。
妊娠中に不足しやすいビタミンや鉄、カルシウム、葉酸※などを補うためのサプリメントが市販されています。利用することはかまいませんが、基本は食事にあることを忘れずに。あくまで補助であり、頼りすぎないようにしましょう。
母体の栄養摂取が十分でなかったり、バランスが悪かったりすると、胎児は正常に発育しようとするので、栄養不足は母体に障害をもたらすことになります。さらに母体の栄養素摂取がある程度下回ると、胎児の発育にも影響を与えてしまいます。妊婦の栄養不足問題として妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、貧血、低出生体重などが挙げられています。

※プロゲステロン●黄体ホルモンと言われ、排卵後に黄体から放出され、妊娠時は高値を持続する。
※平滑筋弛緩作用●腸や子宮の筋肉は平滑筋と言われる筋肉でできており、この筋肉をリラックスさせる働き。
※葉酸●水溶性ビタミンB群の一種で、妊娠初期に胎児の神経管形成に必要であるとされる。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画