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ヘルスケアコラム
知能検査 子どもの精神的能力・発達をさまざまな角度から計測

1つの能力だけでなく7つの能力を総合的にみる

知能という言葉は誰でも知っていますが、では知能とは何かを定義しようとするときわめて難しくなります。研究者のなかでもまだ「知能とは何か」という問題について意見が一致していません。知能を測ろうという試みは、20世紀の初頭にフランスのアルフレッド・ビネーとテオドール・シモンが、子どもの知的障害の程度を測るために知能検査を開発したのが最初です。
ビネーは、人の精神機能を(1)空間や立体を理解する能力、(2)理解や判断のスピード、(3)記憶力、(4)言葉や文字の理解、(5)しゃべりの流暢(りゅうちょう)さ、(6)規則や原理を理解する能力、(7)計算能力、の7つの分野に分け、それらの要素の総合力を知能指数として計測するテストをつくりました。

知能指数(IQ)ってどうやって計算するの?

現在も使われている田中ビネー式知能検査や鈴木ビネー式知能検査では、知能指数(IQ)を次のような式で計算しています。
知能指数=精神年齢÷生活年齢×100
精神年齢は、検査対象となった子どもの知能テストの成績が、どの年齢の成績の平均点に当たるか、ということを示したものです。生活年齢とは、検査対象となった子どもの実年齢です。たとえば、4歳の子どもにテストをし、その得点が5歳の子どもたちの平均点と同じだとすると、知能指数(IQ)は、5÷4×100=120となります。もともと知能検査は、15歳くらいまでの子どもの知能の発達を見るためにつくられたものです。日本でよく使用される知能テストには、上記のほか、ウェクセラー式知能検査があります。
ウェクセラー式知能検査の特徴は、知能を言葉の能力で計測する言語性知能と、動作から計測する動作性知能に分けて検査するものです。言語性知能が動作性知能に比べて遅れる学習障害などの診断などに有用な知能検査法です。

対人関係づくりの能力も測定できる発達検査法

知能検査で調べるやや抽象的な精神能力だけでなく、日常習慣(挨拶などの対人関係、食事、遊び、身体運動能力)などの項目も加えて、子どもの発達状態を測定するために開発されたのが発達検査法です。言語によるコミュニケーションがまだ十分に発達していない乳幼児の発達を評価するのに有用で、発達健診などの現場でよく用いられています。新版K式発達検査、津守式乳幼児精神発達診断法、遠城寺式乳幼児分析発達検査法などがよく使われています。
発達検査法で測定される発達指数(DQ)は知能指数(IQ)と良い相関を示すことがわかっています。
【引用・参考文献】
 総監修:渡邊 昌、和田 攻 100歳まで元気人生!「病気予防」百科 日本医療企画